2009.12/09 [Wed]
垣根亮介「君たちに明日はない」と「借金取りの王子」
かぁちゃんの会社の人は本当によく本を読む。
通勤時に読むために買った本を読み終わったら
所内のキャビネットに入れておいてくれる人がいて
その方の苗字を取って通称「○○文庫」といわれる
本コーナー
そこには事業所の所長から女子社員までが
気にいった本を適当に持っていって
読み終わったら、また、そこに返しておく。
かぁちゃん、入院が決まった時に絶対退屈する
と思ってその「○○文庫」から数冊本を借りていった。
何がいいかぜんぜんわからず
「気分があまり落ち込まず、楽しく、楽に読めるものを」
とリクエストしてお勧めをセレクトしてもらった。
伊坂幸太郎(陽気なギャングの日常と襲撃)
奥田英朗(ララピポ・インザプール・町長選挙)
などなど・・・
かぁちゃんが自分ではけっして読もうとしなかったであろう
これら作家の本は本当に面白く
入院生活の読書タイムをとても有意義にすごした。
その中でも気に入った本が2冊
垣根亮介の「君たちに明日はない」と「借金取りの王子」
「借金取りの王子」は「君たちに・・・」の続編のようなものだから
気に入った本が「1冊」といってもいいだろう。
主人公「村上真介」はリストラ請負人
あらゆる企業に出向いて
実質「首切り」をする会社に勤めている。
最初の話で真介は建材メーカーに勤める女性の
「首切り」の面談を行う。
真介より8歳年上のこの女性。
自分では実績も上げ、会社にも貢献していると思っているのに・・・
世の中は不況の嵐で女性が所属する部署が縮小され
女性がもつ肩書きの役職もいずれ無くなるだろうという話がされ。
この女性、「陽子」は思う。
会社が私を必要としないならそれでもよい
その代わり今のプロジェクトを必ず成功させ
その実績を持って他に転職をしてもよい!と
陽子さんのこのキップのよさ!
そして、真介の過去の女性の記憶が紹介された後
真介は陽子にひかれていく。
真介は首切りの面談に際して
相手の人物の背景にある生活やその人物像を深く知ろうとする。
それは「首切り」といういやな役を務めながらも
精一杯、誠実であろうとする仕事にたいしての
プロフェッショナルな姿勢からだろう。
作者はそんな主人公への書き込みに対し
「陽子」の目からみた「真介」を描く時
ジャニーズ系の顔をしたふざけた野郎
として語られる。
かたや、仕事バリバリの「陽子」も「真介」から見ると
8歳も年上とは思えないほどかわいげのある女性として
書かれているのだ。
見る側からによって「人」というのが多面的にうつる
ということがとてもおもしろく書かれているように思う。
そして、それにもましてこの物語の圧巻は
この小説
「リストラ」という離職の話なのに
どれを読んでも
「さぁ、がんばって仕事をしよう!
どんな仕事でも面白くないものはない!」
と思わせてくれるだ。
大手銀行同士の合併で
元の自分の銀行が吸収された形となり
自分の立場も窓際族に追い込まれ
リストラされる男性。
銀行に見切りをつけ、妻に
自分のやりたい、やりがいのある仕事への転職を
告げる時
「俺の生命保険は2億かかっている。
言っている意味はわかるだろう・・・
実際にそうするかしないかは別として
俺はその覚悟で仕事に臨む」と宣言する。
もともと女性恐怖症で
生保レディの制御がうまくできなかった
元大手生命保険会社の会社員は
「会社を辞める」と決意し
最後に
「いつだって選ぶのは、自分自身だ―」
ととてもさわやかにつぶやく。
その他でも
続編の表題にもなっている「借金取りの王子」は
そう、こんな生き方もいい!
こんな風に人を好きになって
好きな人と暮らしていけたらいい
と思わせてくれる。
そして最後、真介と陽子はオープンカーの屋根を開け
がんがんに昔のパンクロックを大音量で流しながら
夜の街を疾走する。
その歌詞の言葉に借りて
作者はこのせちがらい世の中を生きる
すべての人にエールを送る。
「ボクが言ってやる
でっかい声で言ってやる。
ガンバレって言ってやる。
聞こえるかい! ガンバレー!」
(ザ・ブルーハーツ 『人にやさしく』より)
そう、明日もがんばって生きていこう!
そして、何をしてもどんな仕事でも
やろうと思えばいくらだって面白みは出てくるのだ。
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通勤時に読むために買った本を読み終わったら
所内のキャビネットに入れておいてくれる人がいて
その方の苗字を取って通称「○○文庫」といわれる
本コーナー
そこには事業所の所長から女子社員までが
気にいった本を適当に持っていって
読み終わったら、また、そこに返しておく。
かぁちゃん、入院が決まった時に絶対退屈する
と思ってその「○○文庫」から数冊本を借りていった。
何がいいかぜんぜんわからず
「気分があまり落ち込まず、楽しく、楽に読めるものを」
とリクエストしてお勧めをセレクトしてもらった。
伊坂幸太郎(陽気なギャングの日常と襲撃)
奥田英朗(ララピポ・インザプール・町長選挙)
などなど・・・
かぁちゃんが自分ではけっして読もうとしなかったであろう
これら作家の本は本当に面白く
入院生活の読書タイムをとても有意義にすごした。
その中でも気に入った本が2冊
垣根亮介の「君たちに明日はない」と「借金取りの王子」
「借金取りの王子」は「君たちに・・・」の続編のようなものだから
気に入った本が「1冊」といってもいいだろう。
主人公「村上真介」はリストラ請負人
あらゆる企業に出向いて
実質「首切り」をする会社に勤めている。
最初の話で真介は建材メーカーに勤める女性の
「首切り」の面談を行う。
真介より8歳年上のこの女性。
自分では実績も上げ、会社にも貢献していると思っているのに・・・
世の中は不況の嵐で女性が所属する部署が縮小され
女性がもつ肩書きの役職もいずれ無くなるだろうという話がされ。
この女性、「陽子」は思う。
会社が私を必要としないならそれでもよい
その代わり今のプロジェクトを必ず成功させ
その実績を持って他に転職をしてもよい!と
陽子さんのこのキップのよさ!
そして、真介の過去の女性の記憶が紹介された後
真介は陽子にひかれていく。
真介は首切りの面談に際して
相手の人物の背景にある生活やその人物像を深く知ろうとする。
それは「首切り」といういやな役を務めながらも
精一杯、誠実であろうとする仕事にたいしての
プロフェッショナルな姿勢からだろう。
作者はそんな主人公への書き込みに対し
「陽子」の目からみた「真介」を描く時
ジャニーズ系の顔をしたふざけた野郎
として語られる。
かたや、仕事バリバリの「陽子」も「真介」から見ると
8歳も年上とは思えないほどかわいげのある女性として
書かれているのだ。
見る側からによって「人」というのが多面的にうつる
ということがとてもおもしろく書かれているように思う。
そして、それにもましてこの物語の圧巻は
この小説
「リストラ」という離職の話なのに
どれを読んでも
「さぁ、がんばって仕事をしよう!
どんな仕事でも面白くないものはない!」
と思わせてくれるだ。
大手銀行同士の合併で
元の自分の銀行が吸収された形となり
自分の立場も窓際族に追い込まれ
リストラされる男性。
銀行に見切りをつけ、妻に
自分のやりたい、やりがいのある仕事への転職を
告げる時
「俺の生命保険は2億かかっている。
言っている意味はわかるだろう・・・
実際にそうするかしないかは別として
俺はその覚悟で仕事に臨む」と宣言する。
もともと女性恐怖症で
生保レディの制御がうまくできなかった
元大手生命保険会社の会社員は
「会社を辞める」と決意し
最後に
「いつだって選ぶのは、自分自身だ―」
ととてもさわやかにつぶやく。
その他でも
続編の表題にもなっている「借金取りの王子」は
そう、こんな生き方もいい!
こんな風に人を好きになって
好きな人と暮らしていけたらいい
と思わせてくれる。
そして最後、真介と陽子はオープンカーの屋根を開け
がんがんに昔のパンクロックを大音量で流しながら
夜の街を疾走する。
その歌詞の言葉に借りて
作者はこのせちがらい世の中を生きる
すべての人にエールを送る。
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我が家の本好きはパパ、私は…
旦那や母には本を読んだ方が面白いと言われて何度も進められるけど、
途中で挫折してしまうことが、だんだん増えてきてます。
でも子供たちには本を読んでもらいたいな。
小学校のお兄ちゃん1年生だけど、いきなり日記がクラスだよりに順番で載るんです!
僕のが載ったよって言うから♪ワクワクしながら見たら3行ぐらいなの。1年生らしいかなって
ところが、他のお友達はしっかりした文章書いてる子もいるし、長い長い文章だけど、同じこと書いてる子もいたりして、でもでもお兄ちゃんよりはあきらかに頑張ってる子がたくさんでびっくり!!!
そこで焦った私は一緒におでかけした日記を
みんなそれぞれに書いてみることを提案して、
お父さんの、お母さんの、タクの日記を読みあい、面白いとこ探し合いなんてしてみて、
最近ようやく少し長く、会話の入る文章が書けるようになってきましたよ。
この間は学校の「読み聞かせ」の行事に参加してきました。
5人くらいのお母さん達が集まって紙芝居や、本、クイズをすることもあるそうです。
私の班はクリスマスの紙芝居と大型絵本を読みましたよ。
子供達に読む数分前に何役か決めて1回通すくらい、
初めて会ったお母さんとタイミングが合うか?少しドキドキして楽しかったです♪
みんないきなりなのに役に合う声だったりして♪
読書の秋には葉っぱの形になった読書感想文を書く用紙が6枚、
お兄ちゃん長い本では「学校レストラン」を怖~い怖~いって
あと「ファーブル」の虫の特徴を私に教えながら一生懸命読んでましたよ♪
私もせめてもの新聞と言わず本も読んでみよう♪